ビジネスカー(オフィスカー)とは、北米の鉄道において、重役や社長らが自社路線の視察や会議を行うために作られた専用車両です。「動くオフィス」や「走るホテル」とも評される車内には優れた設備が整い、片方の車端部は展望デッキや展望室になっています。
特に、車端部が巨大なガラス張りになっている発展型の車両は「シアターカー」の愛称で知られており、ユニオン・パシフィック鉄道(UP)の「UPP 420 フォックス・リバー」や「UPP 203 アイダホ」などが有名です。これらの車両は、単独または数両の客車編成で運行されるほか、貨物列車の最後尾に連結されて走行する姿もよく見られます。さらに、鉄道会社が保有する動態保存機関車などと編成を組み、イベント列車として活躍することもあります。
また、払い下げられた車両は、愛好家団体や富豪などが個人的に運用する「プライベートカー」として走ることもあります。この場合は、アムトラックの機関車が単独または複数のプライベートカーを牽引して専用編成を組むほか、定期旅客列車の最後尾に連結されることもあります。
現代では、FRA(連邦鉄道局)の規制により、貨物列車に連結された客車に一般客が乗ることは禁止されています。また、乗客を乗せない回送として貨物列車に連結してもらう場合も料金が極めて高額です。例えばユニオン・パシフィック鉄道(UP)の場合、最低料金が30,000ドル(1マイルあたり150ドル)、さらに入換料も1回あたり3,400ドルかかるため、大陸を横断させるだけで数千万円規模の費用に跳ね上がります。そのため、貨物列車の最後尾に客車が連結されている場合は、そのほとんどが貨物鉄道会社の業務として用いられています。
結果として、趣味や実用を目的としたプライベートカーは、もっぱらアムトラックの列車に連結されて運用されることになります。
そのため、模型で再現する場合は何にどうやって繋ぐかを意識するとリアルさが増します。
アムトラックに連結する場合、1マイルあたり4.54ドル、入換料も1回あたり414ドル(ニューヨークなどの特殊なターミナル駅は1,103ドル〜)と、貨物鉄道会社に比べればはるかにリーズナブルな価格設定になっています。ただし、この基本料金のほかに、年間552ドルの車両登録料をはじめ、駅での留置費用、汚水処理費、外観の洗車費などが細かく加算されていきます。
さらに車両の安全基準もアムトラックやFRAの最新の安全基準をすべてクリアし、アムトラック公式の車両番号(800000シリーズ)を取得しなければなりません。
このほかにも「連結・切り離しができる対応駅の制限」など、アムトラックへ委託する際のさまざまなルールや最新の料金表が公式ホームページに掲載されています。資金と情熱のある方は、究極のラグジュアリーな趣味として、いつかチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

KATOの「ビジネスカー(Business Car)」は、ステンレス車体で有名なバッド社製の車両をベースにバリエーション展開した製品です。そのため、各鉄道会社仕様の中にはいわゆる「タイプモデル」や架空のものが含まれます。特にHOゲージでリリースされたユニオン・パシフィック鉄道(UP)塗装の「CHEYENNE(シャイアン)」は、少しややこしい背景を持っています。実車として「UPP 102 Cheyenne」は確かに存在しますが、あちらはプルマン社製のラウンジカーを自社改造した車両であり、バッド社製の本製品とはまったくの別物です。
では、なぜKATOはこの実車と異なる製品に「CHEYENNE」の名を冠したのでしょうか。
憶測ではありますが、「シャイアン」という都市自体がUPにとっての「聖地」だからでしょう。ここは日本の鉄道ファンにも馴染み深い「ビッグボーイ」や「チャレンジャー」といった大型蒸気機関車が、UP最高地点であるシャーマン・ヒルの峠越えに挑んだ拠点(東側の麓)です。現在でもUPの運行管理本部や、動態保存SLの維持管理を行う一大基地が置かれています。この知名度と歴史的価値の高さゆえに、象徴的な名前として選ばれたのではないでしょうか。

デッキから出入りできるため、側面には片側にしかドアがないのが特徴的。

後方を視察するための展望デッキ。
1両あると貨物・旅客列車共に編成に変化が付くのでお勧めです。















この記事へのコメントはありません。