Doodlebug(ドゥードゥルバグ)とは、20世紀前半のアメリカの地方路線や支線で活躍した電気式ガソリン動車のことです。特定の単一機種を指す形式名ではなく、こうした内燃単行気動車全般を指すニックネームでした。
この模型のプロトタイプは、当時最も成功したEMC(エレクトロ・モーティブ社)が手がけた代表的なモデルで、車体の前半分にエンジンルーム、後ろ半分に客室を備える特徴的な構造をしています。実車は鉄道会社ごとのオーダーメイドでしたが、模型ではその標準的なスタイルをプロトタイプとしています。
ちなみに、Doodlebugとはもともと「アリジゴク」を指す言葉で、当時は奇妙な自作機械や小型トラクターなどの愛称でもありました。重厚な蒸気機関車に見慣れた当時の人々にとって、エンジン音を響かせながら短い編成でせわしなく往復するこの気動車はまさに「奇妙な存在」であり、その昆虫のように這い回る姿から、自然とこの名で親しまれるようになりました。
BachmannのEMC Gas-Electric Doodlebugは、同社のSpectrumシリーズから1997年に発売されました。その後2011年には内部機構の刷新と共にDCC搭載モデルも登場しましたが、現在では生産終了となっています。また、史実の運用を反映して、気動車単体だけでなく付随客車とのセット製品もラインナップされていました。
今回入手したものは、前者の97年発売のアナログ仕様になります。余談ながら、現在我が家のHOゲージとしては唯一のDC車のため、DCC環境で走らせると「ジージー」という唸り音が響き、精神衛生上あまりよろしくありません。どこかのお店にDCC仕様の出物が入ってこないものかと期待しています。
先頭の運転台には機関士のフィギュアが乗り込んでおり、車内にはモーターが覗きます。
四半世紀以上前の古いモデルながら、屋根上機器の緻密な作り込みや、細部まで行き届いた美しい塗装は現代でも十分に鑑賞に堪えるクオリティです。製品の持つ独特の味わいからは、古き良きHOゲージの雰囲気を感じ取ることができます。
車体の前半分が機関室、後ろ半分が客室という、実車特有のユニークな構造が模型でもよく分かります。
また、グレート・ノーザン鉄道(GN)を象徴する、オレンジとグリーンの鮮やかな塗装も綺麗です。
Doodlebugが登場した1920年代のGNの塗装は、「プルマン・グリーン」と呼ばれる濃いグリーンの単色でした。しかし1947年、看板列車である「エンパイア・ビルダー」が最新のストリームライナーに更新された際、有名なオレンジとグリーンの塗装が採用されます。その後、この新しいブランドカラーは既存のローカル線車両にも波及していきました。つまり、この模型のDoodlebugは、後年に塗り替えられた現役晩年の姿を再現したものになります。
単行運転が前提の車両ながら、終点ではデルタ線や転車台を使って方向転換を行うため、客室側の妻面には運転台がありません。
蒸気機関車時代の既存インフラをそのまま流用できるため、わざわざコストがかさみ、客席スペースを圧迫してまで両端に運転台を装備する必要はない、そんなアメリカの鉄道らしい、徹底した割り切りの思想が窺えます。
さすがに1両だけでは少し寂しいので、後ろにオープンデッキ付きの客車を連結し、トコトコと2両編成で走らせています。この「片運転台の2両編成」というスタイルは、100年前の車両でありながら、どことなく現代のLRTにも通じるモダンな機能美が感じられ、眺めていて飽きません。
















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